日常生活で恐怖や不安を感じやすく、悩んでいる人は多いと思います。
恐怖や不安を感じやすい人は普通の人が住んでる世界とは全く違う、とても恐ろしく危険な場所で生活しているのです。
些細なことでも恐怖や不安を感じて、怯えてしまうため、ストレスも感じやすくなります。
私たちはなぜこんなにも恐怖や不安を感じなければいけないのでしょうか?
また、それに対する対処法はないのでしょうか?
その答えを知るためには、まず恐怖や不安が存在する意味を理解する必要があるようです。
1、なぜ恐怖や不安を感じるのか?
恐怖や不安を感じる本来の目的は脳が私たちの命を守ろうとしてくれているからです。
脳の最も重要な役割は私たちの身体の安全を確保することにあります。
この感情があるおかげで太古の昔から人間は危険から身を守り、生き延びることができたのです。
原始時代のような時代であれば、どう猛な野生動物を発見した際は恐怖を感じ全力で逃げなければいけません。
森の中でかすかな音に不安を感じれば、身を隠して命の危険を回避しなければいけません。
恐怖や不安を感じることができるおかげで、自分の命を守る行動に全エネルギーを費やすことができるのです。
しかし、現代の高度に発展した日本においては、どう猛な野生動物に遭遇することもなければ、誰かに命を狙われることもほとんどありません。
その代わりに人間が危険な野生動物に取って代わり、仕事場が危険な場所として認識されているのかもしれないのです。
2、恐怖や不安を感じやすい人の特徴
なぜ命の危険がないのに恐怖や不安を感じてしまうのでしょうか。
その原因として脳の危険探知機が故障してしまっていることが挙げられます。
人間の危険探知機の役割を果たしているのが脳内の扁桃帯という場所です。
通常、外側からの情報はまず脳の中の視床という所に集められます。
次にその情報は二手に分かれ、一方下に向かって脳の奥深くの扁桃帯へ、もう一方は上に向かって前頭葉に伝えられ、そこで初めて私たちは物事を意識的に自覚することができるのです。
そして、その情報が脅威的な場合、いち早く扁桃帯に伝えられ、前頭葉へ伝わるのは遅れてしまいます。
このシステムがあるおかげで、私たちは危険な状態から考えることなしで逃れることができるのです。
例えば、車を運転していて誰かをひいてしまいそうになっても、無意識にブレーキを踏むことができます。
また、車にひかれそうになっても、とっさに身を避けることができるでしょう。
これらの危険な状況では考えている時間はなく、無意識的な反応によって身体を守ることができるのです。
人間の身体は非常に良くできていると感じます。
3、扁桃帯の故障はなぜ起こるのか
扁桃帯は危険を察知することが非常に得意です。
しかし、その扁桃帯が上手く働かないと危険か安全かの判断を誤る可能性があります。
扁桃帯が故障してしまうと、何でもない出来事に恐怖や不安を感じてしまうことになるのです。
なぜこのような扁桃帯の不具合が起こってしまうのでしょうか?
原因は大きく分けて2つ考えられます。
- 生まれつき恐怖や不安を感じやすい(HSP気質の人)
- 過去の出来事や育った環境が原因で恐怖や不安を感じやすい(トラウマ)
このどちらかではないでしょうか。
一つ目の生まれつき恐怖や不安を感じやすい人は先天的な原因で、近年HSPとして知られています。
HSPの人は感じる力が人一倍強く、繊細な人で、研究によるとHSPに該当する人は5人に1人と言われています。
2つに目の原因は後発的な問題で、過去の出来事や育った環境によって引き起こされます。
トラウマを負ってしまうような出来事に出会うと、その後は違う世界に移動したような感覚になるぐらい恐怖や不安の感じ方が変わってしまうのです。
例えば、レイプ被害者の女性は見ず知らずの男性とすれ違うだけでも恐怖を感じてしまいます。
学生時代にいじめに合っていた人は、少し人と目が合うだけで不安を感じてしまうかもしれません。
親によく怒鳴られて育った人は、大きな声を聞くだけで怯えてしまうでしょう。
このようにトラウマを負ってしまった人は、普通の人にとって何も感じないようなことでも、命の危険を感じるくらい恐怖を感じてしまうのです。
また、厄介なことにトラウマを負うような大きな出来事ではなく、自分でも忘れてしまっているような些細な出来事でも身体はそれを記憶しており、扁桃体ののスイッチをオンにしてしまう可能性があるのです。
このような恐怖や不安に私たちはどのように向き合えばよいのでしょうか。
4、恐怖や不安を克服するための3つのアプローチ方法
私たちが安全かつ安心して日常生活を送るためには扁桃帯の不具合を治す必要があります。
耐えられない恐怖や不安に襲われ、日常生活に支障が出ている場合は、病院から処方された薬を飲むことも有効だと思います。
しかし、薬は扁桃帯の働きを無理矢理麻痺させるだけなので、根本的な解決にはなりません。
薬物療法はあくまでも補助的なものと考えてた方が良さそうです。
ここからは恐怖や不安を克服するための3つのアプローチ方法を紹介します。
①脳へのアプローチ
扁桃帯の故障とはいったい何なのでしょうか?
先ほども述べましたが、外からの情報は扁桃帯と前頭葉に分かれて伝えられます。
また、人間の脳は扁桃帯が支配する情動脳と前頭葉が支配する理性脳によって構成されています。
情動脳と理性脳のバランスが取れていることで、私たちは日常生活でストレスに曝され、不安や恐怖を感じても、理性脳により落ち着きを取り戻すことができるのです。
恐怖や不安を感じやすい人は情動脳と理性脳のバランスが崩れてしまっていると言えるでしょう。
つまり、理性脳の働きが弱まり、情動脳が活性化してしまっているのです。
トラウマによりPTSDとなってしまった患者は扁桃帯と前頭葉の間の重要な均衡が変化し、情動の制御が非常に難しくなってしまっています。
情動脳と理性脳を分けて考える
不安や恐怖、悲しみや怒りといったネガティブな情動を感じることは決して悪いことではありません。
その情動にどのように反応するかが重要なのです。
例えば、些細なことで怒りを感じたとき、情動脳の奴隷となり怒りを爆発させてしまうのか、理性脳により落ち着きを取り戻してから冷静に行動できるかを自分で選ぶことができなければいけません。
まず、このことをしっかり理解しましょう。
恐怖や不安を感じやすい人は、その不快な感情に圧倒されて、パニックになってしまう傾向にあります。
パニックになって圧倒されてしまう前に、ただ感情を感じることだけに集中してはどうでしょうか。
自分の感情や感覚を監視する能力を強化する
マインドフルネス瞑想やヨガは理性脳の能力を強化するのに役立ちます。
どちらも自分の感情や感覚だけに意識を集中させ、それに反応したり、判断を下さない練習です。
まず恐怖や不安を感じていることにしっかり気づくことが重要なのです。
恐怖や不安を感じやすい人は、その感情を感じること自体を恐れているため、無意識に恐怖を感じないように感情を麻痺させたり、不安と向き合うことを避ける傾向にあります。
しかし、それは逆効果で、扁桃帯は危険を知らせようとより大きな恐怖や不安を送ることになります。
大切なのは恐怖や不安を未完了のまま終わらせるのではなく、安全に処理することなのです。
まず、瞑想やヨガによって恐怖や不安を感じていることに気づくことから始めましょう。
「私は恐怖を感じています」と心でしっかり認識するのです。
その次に恐怖を感じているときにあなたの身体はどのように変化するか、瞑想を続けながら観察してみましょう。
私の場合は以下のように自分の体の変化を探しています。
心拍数が上がることに気づくだろうか。
胸がドキドキするだろうか。
頭はどうだろうか?血が上って熱く感じるかもしれない。
肩に力が入っているかもしれない。
足に意識を向けるとどうだろうか。
じっとしていることが不快かもしれない。
貧乏揺すりをしたくなるかもしれない。
このように瞑想やヨガによって身体の隅々まで意識を巡らせば、感覚に気づくことできます。
特に瞑想はいつでもどこでもできるため、是非試してもらいたいです。
②心へのアプローチ
瞑想によって自分の感情や感覚に気づくことができたら、理性脳を強化できます。
理性脳を強化し、情動脳とのバランスを整えることで心の平衡を取り戻すことができるのです。
忘れてはいけないことは、恐怖や不安は私たちを守るために存在していることです。
だから、その感情を無視したりせず、しっかり受け止めなければいけません。
ここで私がよく行う方法を紹介します。
瞑想で感情や感覚をしっかり感じ取ったら、心の中でこう唱えます。
「危険を教えてくれてありがとうございます、でも、もうその感情は私には必要ありません」
こうやって理性脳により情動脳を鎮めるのです。
これは決して感情を無理矢理押さえ込んでいるのではありません。
情動脳からのメッセージをしっかり受け取り、感謝を伝えることで、気持ちが徐々に落ち着いていくのです。
そして、その感情は今の自分に必要ないことを教えてあげるのです。
コツは高次元にいる自分から諭すように優しく教えること。
そうすることによって、恐怖や不安を安全に解放することができるでしょう。
③身体へのアプローチ
心へのアプローチだけでは足りない場合があります。
その際は身体へのアプローチを追加することでより効果を上げることができます。
脳や心へのアプローチによって、自分の体の感覚を感じることができたと思います。
恐怖や不安の感覚を感じると身体はどうなるでしょうか?
どこに緊張を感じるでしょうか?
緊張を感じる場所は人それぞれ違うかもしれませんが、だいたいの人が首や肩に力が入っている場合が多いです。
私は不安を感じると肩に力が入ってしまう癖があることに気づいた。
その時はその場で2回ほどジャンプし、肩の力を完全に抜くことを意識してみましょう。
また、首をゆっくりと回すことでどの部分が一番凝っているかを知ることもできます。
身体の緊張している場所を見つけ、その緊張を解くことで身体は自然とリラックスします。
心と身体は相互作用の関係にあるため、身体がリラックスすれば心も落ち着くことができるのです。
逆に身体が緊張したままだと、心も脳も脅威が去っていないと誤解し、危険のシグナルを送り続けてしまいます。
5、まとめ
私は過去のトラウマが原因で常に恐怖や不安を感じてしまう世界に住んでいました。
しかし、上記のようなアプローチを繰り返すことで、安心を感じることができ、過去より楽に日常生活を送ることが可能になったのです。
私たちの人間は脳、心、身体によって構成されており、それぞれ独立した存在ではなく、深く関係し合っています。
重要なことは、脳、心、身体という生体全体に安全を感じてもらうことです。
そのために、様々な角度からのアプローチを組み合わせることが大切になります。
焦らず繰り返しアプローチすることで、恐怖や不安に満ちた世界から、安全で穏やかな世界に移動できるはずです。
たとえ恐怖や不安を感じても、自分で対処できるため、怯える必要もなくなるでしょう。
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