【初級編】ポリヴェーガル理論を簡単解説、苦しむ人を助ける神経系の秘密とは?

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ポリヴェーガル理論

ポリヴェーガル理論という聞き慣れない言葉を知っていますか?

私はこの理論を理解することで、自分がなぜ苦しいのかという疑問に答えを見つけることができ、さらにその苦しみから抜け出すことが可能であることを知ることができました。

この知識を得たことは私にとって、とても幸運なことです。

現在、苦しみや生きにくさを感じている人はポリヴェーガル理論について理解することをお勧めします。

今回はポリヴェーガル理論がなぜ人々を苦しみから解放するのかについて、その秘密を簡単に解説します。

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1、参考書籍

今回参考にした本はステファン・W・ポージェス先生が書いたポリヴェーガル理論入門 心身に変革をおこす「安全」と「絆」です。

ポリヴェーガル理論と聞くと、難しそうに感じるかもしれません。

しかし、この本はポリヴェーガル理論について初めて触れる人にも非常にわかりやすく書かれています。

特にトラウマなどの精神症状を抱えている本人やその家族、セラピストなどは非常に参考になるはずです。

2、複数の神経系を持つ人間

ポリヴェーガル理論とはポリ(複数の)ヴェーガル(迷走神経)のことで人間の神経系に関する理論です。

人間の自律神経は交感神経と副交感神経の2つがあり、これらがバランス良く働くことで私たちは意識しなくても環境に適応できるのようになっています。

しかし、ポリヴェーガル理論の中には副交感神経は2つ存在すると書かれており、それを腹側迷走神経背側迷走神経と呼んでいます。

腹側迷走神経というのは、私たちが一般に副交感神経と呼んでいる神経系で、自らを落ち着かせる働きがあります。

腹側迷走神経が働いているときはリラックスして、他者と安心してコミュニケーションが取ることができ、信頼や愛を結ぶことができるのでしょう。

この神経系は人間が進化の過程で獲得したほ乳類特有のものです。

一方、背側迷走神経はほ乳類の先祖である爬虫類が太古の昔から備えている神経で、この神経の役割は不動、シャットダウン、解離を起こすことにあります。

爬虫類は命の危機に遭遇すると動きを止め、まるで死んでいるかのような状態になることをご存じですか?

この不動化や擬死は太古の昔から爬虫類にとっての防衛システムで適応的な反応と言えます。

そして、ほ乳類へと進化する過程で腹側迷走神経を獲得したのです。

大事なことは、ほ乳類も背側迷走神経を持っているということです。

つまり、交感神経と2つの副交感神経が複雑に相互作用し、私たちの思考や行動を管理していることになります。

3、防衛反応とポリヴェーガル理論

人間は危険に直面するとこれらの神経系が優先順位に沿って発動します。

まず、副交感神経系の腹側迷走神経が優位に立ち、話し合いや譲り合いによって問題を解決しようとするでしょう。

これにより問題を平和的に解決でき、腹側迷走神経のおかげで人間の社会生活が成り立っているのです。

しかし、話し合いなどの平和的解決が難しいと判断した場合は、次の防衛反応である交感神経が活性化されます

いわゆる闘争・逃走反応です。

この状態になると体は血液を筋肉に集め、精神的には興奮状態となります。

戦うか、逃げるかして何とか危機から脱しようとします。

危険を追いやることに成功すれば、また落ち着きを取り戻すことができます。

しかし、戦うことも、逃げることもできない状態に追い込まれると、最終手段の背側迷走神経を発動することになるのです。

そうなると、私たちは身体の感覚を麻痺させ、思考をシャットダウンし最悪な状況をやり過ごそうとします。

痛みの感覚を弱くしたり、死んだふりをして敵から見つからないようにしたりと生命を守るための最終手段に出るのです。

これが背側迷走神経の不動、シャットダウン、解離です。

このように人間はストレスに遭遇したとき三段階の反応を見せることになります。

まとめると人間の防衛システムは腹側迷走神経による人間らしい社会交流→交感神経による過覚醒(闘争・逃走反応)→背側迷走神経による低覚醒(麻痺、シャットダウン、解離)の順で現れます

つまり、人間は安全、危険、生命の危機などを察知し、自動でそれにふさわし神経回路にスイッチを入れる作用があるのです。

4、背側迷走神経に支配される人々

人間社会で生きていくためには、社会交流能力を上げると同時に防衛反応を抑制しなければ行けません。

なぜなら、私たち人間は生まれてから死ぬまでの間、人と人との交流を通し学び、成長し、信頼関係を築いていく必要があるからです。

人は一人では生きられないようになっていて、だからこそ腹側迷走神経を発達させる必要がありました。

逆に爬虫類のような単独で生きている生物が身につけた背側迷走神経のような神経システムは生きていく上で障害になるため、抑制しなければいけません。

しかし、常に恐怖や不安を感じていたり、慢性的なストレスを抱えているようでは防衛反応が活性化されやすくなってしまいます。

防衛反応が活性化された状態では過剰に反応する過覚醒か、シャットダウンや解離のような底覚醒のどちらかになってしまうでしょう。

このような状態に閉じ込められ、苦しんでいる人が多く存在していると考えられます。

特に命の危険を感じるような出来事や強烈なストレスを感じる出来事に遭遇した場合、背側迷走神経が発動し低覚醒状態になってしまう可能性が高いのです。

恐怖のあまり気を失ってしまう人がいるのも背側迷走神経の仕業でしょう 。

ポリヴェーガル理論入門 心身に変革をおこす「安全」と「絆」の中に興味深いことが書かれています。

哺乳類も生命を脅かされるようなことが起きたとき不動状態に陥ります。そして不動状態に陥った後、普通の状態に戻ることは非常に難しいと考えられます。これが多くのトラウマサイバーにも起きていることなのです。

p.41

つまり、一度背側迷走神経によってシャットダウンしてしまうと、元の自分の状態に戻ることが難しくなってしまうのです。

これは私自身も経験していることで、極度なストレス状態が続いたある日、身体がシャットダウンし動かなくなり、感覚も麻痺し、感情の抑揚も失い、もはや人間ではなくゾンビのようになってしまいました。

トラウマや慢性的なストレスによる精神疾患がある人もこのような状態に陥っている可能性があります。

さらに、防衛反応が優位に立っている場合、社会交流能力は失われてしまうのです。

では、多くの人が陥るこの不動状態から抜け出し、腹側迷走神経を活性化させるにはどうしたらよいのでしょうか?

5、安全であると感じること大切さ

背側迷走神経の支配から逃れ、社会交流を自発的に起こすためには防衛反応を抑制する必要があります。

ポリヴェーガル理論入門 心身に変革をおこす「安全」と「絆」の中ではこのように書かれています。

これらのために哺乳類は社会的行動の表現と感情の抑制を必要とするようになっていった。ポルヴェーガル理論ではこうした社会的行動と感情の制御行う神経回路は神経系が安全であると感じている時にのみ発動すると指摘している。そのとき、この神経回路は「健康」、「成長」、「回復」を促進するようにはたらく。

p.24

本書の中では安全であると感じることの重要性が繰り返し述べられています。

なぜなら、安全を感じることが防衛システムを遮断し、社会交流システムを取り戻す唯一の方法だからです。

安全であるという合図は、交感神経や背側迷走神経を落ち着かせ、社会交流により他者と信頼できる関係を結ぶことができます。

私を含め防衛反応が敏感になっている人は、安全を追い求める必要があるようです。

癒しを引き起こすためには安全であると感じることが非常に重要なのです。

逆に危険な環境に居続けることは、いつまでも防衛システムを作動させることになり、精神的、肉体的疾病を引き起こす可能性が上がってしまうでしょう。

もし、今危険を感じているなら、たとえ家族や友人であっても距離を取って安全を確保するべきです。

また、安全であるとは単に脅威を取り去ることだけではありません。

大切なことは、今いる環境や他者との交流の中で健康、愛、信頼を感じること、これが本当の安全なのです。

日常生活でポリヴェーがる理論を取り入れる、より実践的な方法はこちらの記事を参考にしてください。



私も人間関係や仕事などの日常生活において、徹底的に安心を感じられる環境を追求しました。

その過程で、いかに自分が自ら危険な環境に身を置いていたのかに気づいたのです。

過覚醒や低覚醒状態の症状ばかり捕らわれていると、危険な環境にいることさえ気づくことができません。

具体的には職場や家庭環境で、自分の事を攻撃してくるような人とは距離を取ることにしました。


特に仕事に関しては安全を感じられる環境に移動した途端、自分でも驚くほど能力を発揮できるようになったのです。

また、腹側迷走神経が動き出したことにより顔も動き始め、表情が豊かになり、声に抑揚がついたことでコミュニケーション能力向上にも繋がりました。

安心して働くことの重要性に関しては下の記事で詳しく書いてあるので、参考にしてください。

他者との絆を形成し、お互いに協同調整し合うことは、私たち人間にとって必要不可欠です。

安全であると感じることは、生きていく上で絶対に必要なことだと理解しなければいけません。

そして、心の底から安全を感じられたとき社会的な交流が可能になり、健康、成長、回復が促されるのです。

まとめ

自律神経は交感神経と副交感神経によって制御されていることが常識だと思われていましたが、本当は交感神経と二つの副交感神経が存在したのです。

今まで私はほとんどの時間を過剰に反応してしまう過覚醒状態か虚脱して何もできない低覚醒状態のどちらかで過ごしてきました。

そして、そんな自分を恥ずかしく思い、罪悪感を抱えて生きていたのです。

しかし、ポリヴェーガル理論のおかげで、過覚醒も低覚醒も人間としての正しい防衛反応が働いただけであり、環境に合わせた神経系が発動していたのだと理解できました。

その反応は私たちが意識的にコントロールできるものではなく、全て無意識に行われるものなので自分ではどうすることもできなったのです。

交感神経による闘争・逃走反応も背側迷走神経によるシャットダウンも生き延びるためには必要な反応です

私たちの身体は常に命を守ることを最優先に適応的な反応をしているだけなのです。

このことを知るだけでも過剰に反応したり、何もできなくなってしまう自分を責める必要がないことが理解できるでしょう。

そして、人間とって一番重要な事は安全を感じることであり、安全な環境を確保することで不要な防衛反応を抑え、人間として必要な社会交流を獲得することができるのです。

ポリヴェーガル理論のおかげで、なぜこんなにも苦しいのかという問いに初めて答えがでた気がします。

そして、それは回復可能であり、その方法もポリヴェーガル理論入門 心身に変革をおこす「安全」と「絆」に記されています。

ポリヴェーガル理論について詳しく知りたいなら一度読んでみてください。

ポリヴェーガル理論はあなたを変えることができるかもしれません。

プロフィール
サカキ

幼少期に虐待、いじめを経験。トラウマに苦しめられる日々。
見返してやろうと奮闘するも、何事もうまくいかず・・・
それでも普通に働いて、幸せを感じられるようになりました。
自分に効果があった方法(治療法、心理学、スピリチュアルなど)紹介していきます。

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