人はなぜ恥をかくと死にたくなるほど辛い気持ちなるのか?【原因と対処法】

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いじめ

恥という感情に対して、どのような印象をお持ちですか?

実はこの恥という感情は、人間の心にとても大きなダメージを与えます。

それは、時に人を死に至らしめるほど強烈なダメージです。

今回は恥という感情が、なぜこれほどまでに私たちを苦しめるのか、ついての原因。

そして、恥をかいた時の対処法や恥を経験するメリットについて徹底解説します。

・人前で恥をかくのが怖くてたまらない方

・過去に恥をかいたせいで、死にたくなるほどつらい気持ちになった方

このような人に参考になる内容となっています。

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1、公開羞恥刑という恐ろしい罰

公開羞恥刑という言葉を知っていますか?

公開羞恥刑は罪を犯した人を公衆の面前でさらし者にして、辱めに合わす刑罰のことで、昔は多くの国で普通に行われていました。

大勢の人の前で辱めに合うという罰は犯罪者の人格を崩壊させ、死刑よりも苦しい刑と恐れられていたそうです。

そして、公開羞恥刑があまりに残酷なため、先進国を中心に次々と廃止されていきました。(イギリスでは1837年、アメリカでは1839年に刑罰は廃止されている)

つまり、大勢の人の前で恥をかくということは、死ぬことよりも恐ろしいことなのです。

このような背景を考慮すると、私たちが人前で恥をかかされた時、死にたくなるほど辛い気持ちになるのも当然のことでしょう。

なぜ公の場で恥をかかされる公開羞恥刑のような体験が、死刑よりも恐ろしいとまで言われるほど残酷で、人間の人格を崩壊させてしまうのでしょうか?

2、恥という感情が人間に及ぼす影響

私は学生時代に酷いいじめにあっていました。

その当時、何が一番辛かったかと思い返してみると、恥ずかしいという感情に心が押しつぶされていたことだち気づきました。

いじめは学校内で行われる代表的な公開羞恥刑です。

教室内において、クラスメイトという大勢の人の前で暴言や暴力などの辱めに合うのですから。

これは一対一で暴言や暴力に合うより相当大きなダメージをくらいます。

そして、大勢の前で恥ずかしい思いをさせられている上、自分で自分のことをいじめられるほど恥ずかしい人間なんだという感情を植え付けます。

この恥という感情は人間の心を二度と復活できないほど固く凍りつかせるのです。

感情は麻痺し、顔の表情は消え、未来に対する希望も奪われてしまいます。

ただ過去の自分の行いを恥じるだけの人生になってしまうのです。

そして、このような状態に陥った自分自身に嫌気がさし、自分がどれほど価値のない人間かを知られるのが耐えられなくなります。

このような強烈な恥ずかしさの感情は人間の脳にも悪影響を及ぼします。

恥の感情は脳に異常な活性化をもたらし、人と少し目があっただけでも過剰に反応してしまい、他人とのコミュニケーションも困難になります。

また、暴力事件などの犯罪に手を染めてしま人の特徴について、ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち (光文社新書)の中でこのように書かれています。

暴力犯罪の多くには共通点がある。皆がある秘密を抱えているといことだ。それは、彼らが実は自分の存在を恥じているという秘密である。深く強く恥じており恥の感情は絶えずつきまとい消えることはない。

p.423

犯罪をしてしまう人の多くが自分の存在を恥じているのです。

そして、その犯罪が被害者に新たに恥を植え付けるのです。

あらゆる暴力はその被害者から自尊心を奪い、代わりに恥の感覚を植え付ける。それは事実上その人を殺すのと同じだ。

p.424

つまり、恥は人間の心を崩壊させ、人を死に追い詰めるのです。

3、現代版公開羞恥刑

公開羞恥刑はいじめのような特別な行為だけではありません。

公開羞恥刑はテクノロジーの進歩とともに数百年の時を得て現代版公開羞恥刑として復活を果たし、世の中の至るところで行われているのです。

そして、私たちはその被害者にも加害者にもなる可能性があることを十分に理解しなければいけません。

代表的な例がSNSでしょう。

SNSが普及したおかげで、私たちは世界中の誰に対しても、自分の意見を伝えることができるようになりました。

このおかげで一般市民である私たちが、著名人などの自分より階級が上の人と戦うことができるようになったのです。

これはSNSの大きなメリットかもしれません。

一方、何か間違いを犯した者に対して一斉に誹謗中傷を行うという、ネットリンチのようなことが多く起こるようになりました。

間違った行いや、気に食わない行為に対して、ツイッターなどのSNS上でつるし上げ、不特定多数の前で攻撃するという行為はまさしく、現代版公開羞恥刑です。

テレビ番組での行いがネットで炎上し、死に追い込まれるという事件も記憶に新しいのではないでしょうか。

また、ネット上で炎上するのは有名人や著名人だけではありません。

私たちのような一般市民でも、ネット上で何気なく発信した言葉がSNSで大炎上し仕事や家庭を失うという事例は多く存在しています。

ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち (光文社新書)の中でネットで誹謗中傷を受けて人を取材した際の様子について書かれています。

幼い子供を抱え、ただ毎日まじめに働いているような善良な市民が突然大勢から袋だたきに遭ったのだ。私はそんな体験をした人たち一人ひとりに会って話を聞いた。レストランや空港のカフェで待ち合わせた彼らは皆、一様に憔悴し切った顔をしていた。善良な市民らしくきちんとしスーツを着てはいたがふらふらと力なく歩く姿はまるでゾンビみたいに見えた。

p.121 122

恥という感情は心に大きなダメージを与えます。

大勢の人の前で恥をかいたということが大きなストレスやトラウマとなりうつ病などの精神疾患につながる場合もあるのです。

その結果、まるで魂を失ったゾンビのようにふらふらと人生をさまようのかもしれません。

4、最も注意するべきこと

私たちが最も注意しなければいけないことは公開羞恥刑の加害者にならないことです。

ネット上での誹謗中傷が後を絶たないことから、誹謗中傷が厳罰化される流れにあります。

しかし、このようなことだけではネットリンチがなくなるとは到底思えません。

公開羞恥刑を再び廃止に追い込むためには、私たち一人ひとりの意識を変えなくてはなりません。

ネット上で簡単に誰かを攻撃してしまう人はとても軽い気持ちで誹謗中傷をしてしまっているようです。

「悪いことをしたのだから当然だ」とか「これくらいの言葉なら傷つかないだろう」とか勝手な解釈をしています。

しかし、思い出してください。

大勢の前で恥をかかせる行為は死刑よりも重い罰を与えているのと同様なのです。

そのような酷な罰を与える権利は誰にもないはずです。

公衆の面前で屈辱を与える刑罰は、実は死刑よりも残酷であると広く認識されている。にもかかわらず、その種の刑罰が死刑よりも軽い罪に対して用いられているのは奇異しか思えない。このとてつもない過ちに気づかない限り、人間の心は何事に関しても真実に到達することはまずできない。

p.99

普段は善良な人でも群衆になると常軌を逸した行動に走りがちなので注意が必要です。

現代版公開羞恥刑を観察していると、勝手に裁判官を気取り、間違った正義を振りかざしている人が多くいるように見えます。

本来、一般市民である私たちは誰かに罰を与える権利なんてありません。

特に自分と直接関係のない出来事ならなおさらです。

この大きな勘違いに気付かなければネットによる誹謗中傷は減ることはなく、自らが加害者となる可能性も十分あると言えるでしょう。

5、恥をかいた時の対処法

虐待やいじめ、性犯罪などの被害者はその事実を隠そうとする傾向にあります。

その心理の裏には恥という感情が大きく影響しています。

暴力で無理矢理服従させる行為は、相手に無力感を植え付け、自尊心を奪い、恥の感情を植え付けるのからです。

身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法の中にはこのように書かれています。

トラウマを負った人の多くは、その状況下で自分自身がしたことあるいはしなかったことについて感じている恥ずかしさに心の奥で苦しめられている。彼らは恐怖、依存心、興奮、激怒を感じてしまったために自分を見下しているんだ。児童虐待の犠牲者も同じような症状が出る。自分がとった行動に対する痛烈な恥辱感で苦しんでいる。その結果、自分が犠牲者なのか、自発的に関与しているのか分からなくなる。愛と恐怖、苦痛と快感の区別に混乱が生じる。

暴力などの行為を受けた人の多くは、その状況で自分がとった行動を恥かしく思っているのです。

このような恥ずかしいという感情にどのように向き合えばいいのでしょうか?

今回は恥をかいた時の対処法を2つ紹介します。

①恥という感情を捨てる

まず、最初の対策は恥の感情を捨てることです。

多くの人の前で恥をかかされたにもかかわらず、精神的に無傷の人もいます。

このような人と、死ぬほど苦しい思いをしてしまう人の違いはいったい何でしょうか?

簡単に言えば、それを自分自身が恥ずかしいと思うか、思わないかの違いです。

公開羞恥刑は刑を受ける者が恥ずかしいと思うから成り立つものです。

当人が恥ずかしいと感じなければすべては崩れます。

気に入らない相手を一番苦しめる方法が、恥をかかせることだと人は無意識に知っているのかもしれません。

そして、相手がダメージを受け苦しんでいる姿を見て、優越感や満足感を得るのです。

しかし、そのような攻撃に全く動じず、堂々とした姿勢でいると、攻撃する意味を感じられなくなり、徐々に誹謗中傷する者は減り、公開羞恥刑を回避することができます。

つまり、日常生活の批判やネット上での誹謗中傷は気にせず無視するのが、一番良い方法なのです。

しかし、気にせず無視するという行為はある程度精神的に鍛えられている人でないと難しいかもしれません。

そこで、2つ目の対策が有効になります。

②恥ずかしいという感情を言葉にする

2つ目の方法は、恥ずかしいと言う感情を吐き出すことです。

心の中に恥ずかしいと言う感情が湧いてきた場合は、その気持ちを早い内に言葉に出すと良いでしょう。

多くの人は屈辱を受けたときに、何も言わず、抱え込もうとします。

しかし、恥を心の中にとどめたままにしておくと、その気持ちはどんどん大きくなってしまうのです。

なので、まず自分の気持ちに正直になることが大切です。

近くに信頼できる家族や友人がいるなら、その人に恥をかいたことを打ち明けてみましょう。

自分のことを大切に思ってくれる人なら、親身になって聞いてくれるはずです。

もし、気持ちを吐き出す相手がいないなら、感情を紙に書きだすだけでの効果があります。

また、誰に相談できない場合は、カウンセリングサービスを利用することをおすすめします。

その場合、どのような場面で恥をかいたかによって相談する相手が変わります。

学校で恥をかいたのならスクールカウンセラーに相談する、職場で恥をかいたのなら仕事専門のカウンセリングを受けるなど。

目的にあったカウンセリングサービスを選ぶことが重要です。

こちらの記事を参考にしてみてください。

プロのカウンセラーに話を聞いてもらうことで、恥という感情が消えるスピードが圧倒的に早くなります。

5、恥の経験を成長に変える

人前で恥をかかされた経験が、その後何年たっても忘れられず、トラウマのように心の中に残ってしまう場合があります。

さらに恥は自責感や自己嫌悪を生み、トラウマをより強固なものにします。

それが原因でPTSDなどの病気を発症し、病院での治療やカウンセリングが必要になる場合もあるでしょう。

私自身、学生時代のいじめという公開羞恥刑により今なお心に大きな傷を負っています。

公開羞恥刑は魂を殺すということを身をもって体験しました。

しかし、今はその傷を背負いながらも、自分らしく前を向いて歩けるようになりました。

恥をかくという経験を、自らの成長につなげることができたのです。

恥を経験することのメリットとして次のようなことが考えられます。

辱めに合っている人の気持ちを理解することができる

新たな犠牲者が出たときに、手を差し伸べたり、有用な助言を与えることができる。

誹謗中傷の加害者にはならない、という硬い決意をもつことができる。

恥をメリットや経験につなげるのは時間がかかるかもしれません。

でも、根気強く心の傷や弱みに向き合うことが大切だと思います。

そもそも誰しもが、何かしらの弱みを持っています。

秘密にしたい、知られたくないことは誰にだってあります。

だから一方的に他人を責め立てる人は、誰かを責めることで自分の弱みを隠そうとしているのではないでしょうか。

これからの時代は誹謗中傷をする人が生きにくい時代に徐々に変化し、他人を攻撃する行為は自滅につながる可能性があるので要注意です。

6、まとめ

誰かに恥をかかせる行為は、その人の魂を殺すことと同等だということが分かっていただけたでしょうか。

このことを理解するだけで、誰かに恥ずかしい思いをさせてやろうという気持ちはなくなるはずです。

もし、あなたが何かの原因で恥をかかされて死にたくなるほど辛い思いをしていたとしても、どうか自分を責めないでください。

恥ずかしいという感情としっかり向き合うことで、人間は成長し、未来の自分を助けることになります。

最後に今回参考にした書籍を紹介します。

今回参考にした書籍はジョン・ロンソン著のルポ ネットリンチで人生を壊された人たち (光文社新書)です。

この本は実際に自らの言動が原因となり公開羞恥刑にあった様々な人を取材し、恥が人間の心理にどのような影響を及ぼすのか?また、日常生活にどのような支障をきたすのかについて、加害者、被害者の双方の視点を用いて書かれているので非常に理解しやすいです。

また誹謗中傷などのネットリンチにあってもダメージを受けない方法も書かれているので、興味がある方はぜひ読んでみてください。

プロフィール
サカキ

幼少期に虐待、いじめを経験。トラウマに苦しめられる日々。
見返してやろうと奮闘するも、何事もうまくいかず・・・
それでも普通に働いて、幸せを感じられるようになりました。
自分に効果があった方法(治療法、心理学、スピリチュアルなど)紹介していきます。

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