薬に頼らず躁うつ病(双極性障害)を克服するためのツールボックス

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うつ病

私は高校一年の時に躁うつ病(双極性障害)と診断されてから約15年間薬物治療を続けてきた。

しかし、今は病気を克服することができた。

ちなみに私の言う克服とは病気になる前の自分に戻ることではない。

私自身、躁うつ病に関しては九割がた回復しているが、それでも病気になる前の自分には戻れていない。

しかし、新たな自分として、より成長した全く違う人格に生まれ変わることは可能である。

そのために必要なことは今の自分に何が起こっているかを正しく知り、自分自身をコントロールできるようになることだ。

自分を上手くコントロールさえできれば長年頼ってきた薬物療法を止めることができるかもしれない。

今回は自分を正しく知る方法、自分をコントロールする方法について、私が効果のあったと思うものについて紹介する。

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薬物療法は必要か?

現代医学の精神疾患治療は薬物療法が主流であることは言うまでもない。

躁うつ病に関しても躁状態やうつ状態から脱するために薬が処方される。

薬を飲むことで精神状態が安定するかもしれない。

しかし、薬物療法だけで病気からの回復は難しいのではないだろうか。

また、長年薬を服用してきた経験から言うと、躁状態やうつ状態から逃れることはできるが普段の感情も段々感じにくくなり、感情が平坦になっていった。

不快な感情を感じなくする代わりに人として必要な感情も失ってしまう。

だから薬はいつか止めないといけないと感じた。

私は薬が必要かと聞かれれば必要だと答える。

最悪な状況を脱するためには薬物療法は欠かせない。

しかし、薬だけに頼っていてはある一定以上の回復は望めない。

重要なことは薬+α何かしなければいけないことだ。

その何かは人によって違うだろうし、これという答えはない。

+αを見つけるためには自分の中で起こっていることを正しく知らなければいけない。

そして自分の感情のコントロールを薬から徐々に違う方法に変えるのだ。

薬は一時の安らぎを私たちに与えてくれるが、病気自体を治すことはできないのかもしれない。

1、マインドフルネス瞑想

先ほども述べたが病気を克服するためには自分の身体の中でいったい何が起こっているのかを知らなければいけない。

そのために私が一番効果を感じた方法がマインドフルネス瞑想である。

私たちは日ごろ意識を自分の外側ばかりに向けてしまう。

誰かに認めてもらえれば嬉しいし、信頼している人に裏切られると一気にどん底まで落ちる。

外側によって自分の心を支配されているのかもしれない。

大切なことは自分の内面、内側に意識を向かることだ。

しかし、躁うつ病を患っている人は自分の内面に意識を向けることを避けてしまう。

なぜなら、我慢できそうもない不快な感情を感じることが怖いからだ。

だから、その不快の感覚を感じなくて済むように外側に意識を向け誤魔化している。

だが、体内のこうした感覚を感じるのを避けると、その感覚にますます圧倒されるようになる。

回復のための第一歩は自分の内面と向き合い、自分の感じていることを正しく感じることである。

そのために一番有効な手段がマインドフルネス瞑想だ。

瞑想によって体を意識すれば、私たちの内部の世界に接することができる。

静かな場所で目を閉じて、自分の感覚に集中し、ただ感じることだけを意識する。

その感覚に余計な判断を下してはいけない。

自分が今どのような感覚を感じているか気づくことから始めなければいけない。

自分の感覚、苛立ちや、心配、不安に気づきさえすれば、物の見方を変えやすくなる。

普段は不安や恐怖の感情に襲われると無意識的に反応してしまうが、瞑想によって内面に意識を向け、気づくことができれば習慣的な反応ではない新しい選択肢を得ることができるかもしれない。

またマインドフルネス瞑想は永遠と続くと思えてしまうような不快な感覚や体調の異変も一時的なものであることを教えてくれる。

どんなに辛い症状も内面に意識を集中させ、注意を払うと情動が満ちたり引いたりするのを認識でき不快な感情を永遠ではないことに気づくだろう。

それとともに情動を抑制しやすくなる。

躁鬱病(双極性障害)を患っている人はいつ襲われるか解らない、過覚醒状態(躁)や低覚醒状態(うつ)の感覚を感じること自体に恐れていることが多い。

病気の原因は自分の外側にあるかもしれないが、今や私たちの敵は加害者ではなく、自分を襲う辛い感情だ。

不快な感覚に乗っ取られるのではないかという不安から体は凍り付き、心は閉ざされたままになる。

過去の辛い出来事にいつまでも怯え、無力な感覚を生み続ける。

この負のスパイラルから抜け出すことが非常に難しいのだ。

変るためには、まず自分自身に心を開かなければならない。

その第一歩となるのが瞑想により心が感覚に意識を集中することを許し、永遠に続くと思える不快な感覚は一時的なもので、姿勢のわずかな変化や呼吸や思考の変化で変ることに気づくことだ。

次にそれを言葉で説明できるようになると良い。

「胸が締め付けられる」や「はらわたが煮えくりかえる」などの言葉で説明できるかもしれない。

その後、その感覚に意識を集中し、ゆっくりと息を吸ったり、吐いたりするとその感覚がどう変化するか観察する。

泣きたくなったら泣いてもいいが、その後、自分の感覚がどう変化するかを知ることが大切である。

瞑想を実践すると交感神経が落ち着くので躁状態に入りにくくなる。

自分の身体的反応を観察して、それに耐えられることを学んで初めて、安心感を得ることができる。

今感じていることに耐えられなければ、過去にも未来にも安心して心を開けないだろう。

ある瞬間、胸が締め付けられても深く息を吸い込んで吐き出せば、その感覚は和らぎ、肩の筋肉の緊張などの何か他のことに気づくかもしれない。

マインドフルネスは自分の体の中を覗くカメラのようなものだ。

マインドフルネスによって心の中に散らばっている負のエネルギーを集約し、それを生きるためや問題解決のため、自分を癒すためのエネルギーに変換しなければいけない。

マインドフルネス瞑想は双極性障害などの数多くの精神疾患に有効であることが立証されている。

この後紹介する方法もすべて基本はマインドフルネスの原理を利用している。

難しく考えることはない。

最初は呼吸に意識を集中させるだけで十分だ。

ゆっくりとした深い呼吸を数回するだけでも効果があるだろう。

2、ヨガ

ヨガもマインドフルネス瞑想と同様に自分の内面で起こっていることを知り、自分をコントロールするための方法だ。

薬や他の治療法で全く効果がなかった患者がヨガを十週間実習すると症状が著しく改善されたという報告もある。

私自身も感じたことだが、ヨガを実践することで自分をより深く知ることができ、今まで以上に自分を大切にしようという気持ちが自然とわいてくる。

精神疾患を経験したことがある人ならわかるかもしれないが、私たちは辛い症状を何かで紛らわせようとする。

それが自分の首を絞めさらに苦しい思いをすることになる。

ドラッグ、アルコール、タバコ、ギャンブル、危険な異性関係など。

これらは自分の感覚を麻痺させることで一時的に辛い感情から逃れるための行為だ。

また、カッティングなどの自傷行為も同様のことである。

知らず知らずのうちに自己を麻痺させる達人になってしまっている。

依存は一時的に気持ちを楽にしてくれるかもしれないが、病気の克服には何の役にも立たず、依存に代わる何か自分を落ち着ける方法を見つけなければいけない。

ヨガはその代わりになる可能性が充分にある。

ヨガを行う上で一番大切なことが呼吸である。

瞑想のところでも説明したが呼吸法を変えることによって怒りや抑うつ状態、不安といった問題を改善できる。

また、高血圧、ストレスホルモンの分泌量の増加、喘息、腰痛といった幅広い医学的問題に効果的だと言うことが科学的に立証されている。

多くの人は自分の呼吸をほとんど自覚していないので吸う息と吐く息に意識を集中させ、いくつかのポーズで呼吸を数えることを習得すれば、それは大きな効果となる。

またヨガの目的は正しいポーズをとることではない。

その時々にどこ筋肉が使われていて、そのポーズに対して自分がどのように感じるかに気づくことが重要だ。

色々なポーズをしながら体の様々な部位で何が起こっているかを観察することでマインドフルネスを育てることができる。

躁うつ病の人にとっては体の中で完全にリラックスして身体的に安全だと感じることは難しい。

私たちの大きな課題の一つは、完全にリラックスして安心して身を委ねられる状態になることだ。

そのためには本当の自分を知る必要がある。

本当の自分を知るためには、自己感覚を通して体とつながり、感覚を感じて解釈できなければならない。

その身体感覚を認識し、それに基づいて行動すれば人生を安全に歩んでいくことができるかもしれない。

自分の感覚を無視して麻痺させることによって一時的に楽になるかもしれないが、その代償として体の内部で起こっている出来事に気づかなくなり、思う存分生きていると感じられなくなってしまう。

自分の内面との関係を再度築き、それとともに自分自身との思いやりにあふれた関係を復活させるにはヨガはすばらしい方法である。

ヨガの目的の一つが自分の経験に耐え、内部の経験と友達になり、新たな行動パターンを培う能力が自分にあるのを知ることだ。

私がヨガをする上で意識したことは自分の体に好奇心を持って接することである。

ヨガはその時々の呼吸と感覚に意識を集中させるが、深く息を吸うと肩の緊張がほぐれるだろうか?吐く息に意識を集中させると穏やかだという感覚が生じるだろうか?このように自分が何を感じているかに気づくだけで情動調整がしやすくなり自分の体の中で起こっていることを無視しなくなる。

ヨガで重要なことは「感覚に意識を向けること」と「次にどうなるかを観察すること」だ。

恐れではなく好奇心を抱いて自分の体に接し始めると、回復に向けた道が開けてくる。

また優秀なヨガ講師の元でレッスンを受けることも有効かもしれない。

マインドフルネス瞑想やヨガを訓練するといつでも自分の内面に意識が向くようになる。

例えば、通勤や仕事中などに緊張で肩に力が入ってしまう癖があることに気付くかもしれない。

私の場合は肩の緊張を感じたらその場で二回ほどジャンプして肩の力を意識的に抜くようにしている。

気づきを得れば、対策が見えてくるのだ。

ヨガについてはこちらの記事も参考にして欲しい。

3、タッピング(TFT)

タッピングとはTFT(思考場療法)と言われ体に存在するツボを刺激する治療法である。

やり方は簡単で人差し指と中指の二本の指でツボを叩くだけだ。

これだけのことで本当に効果があるかと疑いたくなるが私には十分に効果があり、今ではなくてはならないツールとなった。

なぜ効果があるのかを科学的に説明するのは現時点では難しいようだ。

しかしタッピングは世界中の多くの人を癒しており、試してみる価値は十分ある。

一つ言えることは体と心は繋がっているということだ。

私たちは過去の辛い出来事やトラウマになるような出来事により生じたエネルギーが発散されないまま体の中に閉じ込められている。

その未完了のエネルギーが私たちの意志とは無関係に湧き上がり、恐怖や不安、うつ症状、パニックなど様々な不快な感情として現れる。

タッピングは体の中に停滞しているエネルギーに再び流れを与え、安全に開放することができるのかもしれない。

実際に過去の辛い出来事やトラウマを思い出し、不快な感情に圧倒されそうになった時、タッピングが非常に効果を発揮する。

辛い出来事や不快な感覚に襲われているとき、特定のツボを刺激すると落ち着きを取り戻すことができる。

双極性障害の躁状態やうつ状態に陥ってしまった場合もタッピングによって抜け出すことが可能である。

ツボの具体的な場所は顔、上半身、手にある。顔は眉がしら、眉じり、目の下、口ひげ、あごで上半身は鎖骨、脇の下である。(手のツボの説明は省略する)

試しにこれらのスポットをトントンと指先で叩いてみて欲しい。一秒に二回のペースで軽く叩くだけでよい。

体の中に変化を感じ取ることが出来ただろうか。

人によって効果のある場所や回数は異なってくる。

自分に効くスポットを見つけることが大切である。

私の場合は目の下と鎖骨のツボが一番効果が感じられた。

不快な感情に圧倒されそうになったら鎖骨や目の下をタッピングし自分自身を上手くコントロールしている。

さらに私のお薦めはマインドフルネス瞑想とタッピングを組み合わせることである。

瞑想中に突如として嫌な思い出やトラウマが頭を駆け巡ることがある。

その時にタッピングを行い、気持ちを落ち着かせ、集中して瞑想を続けることが可能になる。

タッピングはうつ、不安、恐怖症、トラウマなどの幅広い治療に用いられている。

なぜならタッピングは否定的な感情から特定の記憶をすみやかに、かつ永続的に分離できるようだ。

かつては耐えられなかった記憶にも感情的にならず、動じなくなる。

また、かつて恐怖やパニックを引き起こした状況に陥っても、タッピングにより平静をなることができるので、この上ない安心感を得ることが出来る。

ツボの正確な場所やタッピングの詳しい方法を言葉で説明することは非常に難しいので書籍タッピング入門―シンプルになったTFT&EFTを参考にして欲しい。

ここまで正確に分かりやすくタッピングについて解説している本に出会ったことはない。

タッピング(TFT)は今回紹介している方法の中で一番即効性があるものなので、ぜひ一度試して欲しい。

4、運動や芸術に昇華する

これまで紹介してきた方法で内部感覚と向き合えば、自分自身の本当の声を見つけることができるだろう。

それを体や芸術を用いて表現できれば、体の中に凍り付いている感情を解きほぐす事ができるかもしれない。

言葉では表現できない感情を芸術によって表現するのだ。

芸術にはパワーがある。

自分でも気づいていなかった感情を代弁してくれている歌に出会うと自然と涙がでるかもしれない。

一つの映画が人生を変えるかもしれない。

また、昔から引き継がれている伝統的な歌や踊り、宗教的な儀式などには意味がある。

人々に癒しを与える効果があり、そこにいる人達に自然と連帯感を生むことができる。

私の場合は演劇に参加したことで、芸術の力を認識し、病気回復のスピードを早めることができたので、その効果を紹介したい。

演劇を通して自分の感情を正しく表現する方法を学ぶことができた。

精神疾患を患っている人はたいてい、過去に言いたくても言えなかったり、行動したくてもできなかったりしたエネルギーが溜まっているはずである。

あの時、本当は怒りたかった、逃げたかった、泣きたかったなど。

また様々な葛藤(自分自身との葛藤、対人関係の葛藤、家庭内での葛藤、社会的な葛藤)と共に生きている。

それを演劇の中で表現するのだ。

私が病気になった原因は学生時代のいじめだか、その時いじめられた相手に言いたくても言えなかった怒りのエネルギーが体の中に溜まっている。

演劇の中で怒りを表す場面があれば、その時の気持ちを思いだし、自分の声と体で演じることで、閉じ込められていたエネルギーを解放することができる。

また自分でも忘れていた思い、どれほど怯え、怒り、耐えていたのかを認識することができるかもしれない。

演劇のすばらしい点の一つが体の中に凍り付いたエネルギーを安全に解放できるところにある。

話の構成が決まっているため、自分を批判したり、予想外の危険を感じる心配がない。

仲間達と共に集団での行動を通して、人生の辛い現実と向き合うのである。

演劇を例に芸術の効果について考えてみたが、歌や踊り、アートや運動など何だってそれに集中し、没頭できるものを見つければ、人生の主導権を持ち、生き生きした感覚を取り戻すことができるだろう。

人は誰しも何か上手くいかないことがあったり、落ち込んだりした時は運動し筋肉を動かしたり、何かに没頭して作業することが助けになる。

ただテレビを見ながらソファーに横たわり、過覚醒や低覚醒の恐怖に怯えているだけでは何の変化も起こらない。

自分自身の声に耳を傾け、対話し、それを表現する方法を見つけなければならない。

芸術はその助けになるだろう。

ただし、一つ注意点として、自分の表現を人にどう思われるか気にしだしたら、逆効果になる場合がある。

他人の評価に怯え、恥の感情を感じてしまうと凍り付いたエネルギーがより固くなってしまう。

現在の学校教育において音楽や図工、美術など表現に対して点数を付けているが、このシステムのせいでどれだけの子供が芸術を嫌いになっているだろうか。

人に見せるための芸術ではなく、自分の内面を表現するための方法として、評価を恐れず、楽しみながら取り組んでもらいたい。

まとめ

冒頭でも述べたが、現在の精神医学の主流は薬を使って私たちの気分をコントロールすることに焦点が当てられている。

薬物療法により躁状態やうつ状態の治療が行われているのが現状だ。

しかし、本来私たちは生まれながらにして自分を安定させる能力を持っている。

ただ病気によりその能力が一時的に失われてしまっているだけである。

その能力を復活させる方法が今まで紹介してきたマインドフルネス瞑想やヨガやタッピング、芸術である。

これらの方法を訓練すると自分で自分をコントロールできるようになる。

何かに依存して病気を治してもらうのではなく、自分で自分を癒すことができる。

しかも、薬やカウンセリングに高額な料金を払うことなく。

自分で自分をコントロールできるようになると、失われた人生の主導権を取り戻すことができ、安心して人生を歩むことができる。

今回紹介した方法はどれも簡単に場所を選ばず実践でき、副作用など無い安全なものだ。

たとえ上手くいかなかったとしても害になることは絶対にない。

ただし、薬のような即効性はないので、自分にあった方法を見つけ継続し続けることが大切である。

私が病気を克服する上で感じたことは劇的な回復方法は存在しないこと、回復スピードは非常に緩やかであることだ。

亀が進むようなゆっくりとしたペースで焦らず取り組むと、少しずつ体に変化が起こるの。

さらに詳しく調べたい方は紹介している本を参考にすると良いだろう。

必ず自分自身の助けになるはずだ。

最後に今回紹介した方法を続けた先に得られることをまとめて終わりにする。

・落ち着いて意識を集中させることができる。

・過去や未来に対する不安に襲われても落ち着きを保ち続けることができる。

・うつ状態や躁状態に襲われても、今を思う存分生き、周囲の人々と関わることができる。

・自分に隠し事をしないで生きることができる。

プロフィール
サカキ

幼少期に虐待、いじめを経験。トラウマに苦しめられる日々。
見返してやろうと奮闘するも、何事もうまくいかず・・・
それでも普通に働いて、幸せを感じられるようになりました。
自分に効果があった方法(治療法、心理学、スピリチュアルなど)紹介していきます。

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