当然ですが、たいていの人は、幸せになりたいと感じています。
しかし、幸せの定義については、曖昧な部分も多いのが事実ではないでしょうか。
私たちが幸せを感じているとき、脳内ではいったい何が起きているのでしょうか?
最近の研究で、人間が幸せに感じるとき、脳内には特定の物質が存在することがわかりました。
つまり、幸福を感じることができる脳内物質を分泌できれば、今この瞬間から幸せになることが可能なのです。
今回は、世の中にあふれる幸福論ではなく、科学的に証明されている幸せになる方法について紹介します。
参考書籍
今回参考にした書籍は、精神科医である樺沢紫苑先生が書いた精神科医が見つけた3つの幸福という本です。
精神科医の視点から、科学的に幸福を捉えており、よくある「ふわっとした幸福論」ではありません。
中身もとても実践的な内容で、幸福になるための道筋がわかりやすく示されています。
特に幸福感を感じにくい人にはおすすめの一冊で、心と体の両方の幸せを網羅した名著だと感じました。
幸せの科学、幸福なときに脳内で起きていること
私たちが幸せを感じるとき、体の中で何が起きているのでしょうか。
科学的に解明されていることは、幸福状態のとき、人の体内には幸福物質が流れていることです。
幸福物質というのは実際に100種類以上あり、それぞれ幸福の感じ方が異なります。
その中でも最も重要なのが、セロトニン、オキシトシン、ドーパミンです。
この3つは、世界三大幸福物質として知られています。
セロトニンはさわやか、やすらぎ、おだやか健康といった幸福感(セロトニン的幸福)
オキシトシンは人や動物とのつながり、愛情、赤ちゃんを抱っこしている感覚、愛に包まれた幸福感(オキシトシン的幸福)
ドーパミンは地位や名誉、お金といった心臓がどきどきするような幸福感(ドーパミン的幸福)
幸福とは簡単に言うと、セロトニン、オキシトシン、ドーパミンが十分に分泌されている状態のことです。
つまり、幸せになる方法とは、脳内に3つの幸福物質がでる条件を見つけること。
セロトニン、オキシトシン、ドーパミンがどのような条件、状態、行動で分泌されるのかを知ることができれば、私たちは必ず幸せに人になれるのです。
これが今回見つけた、科学的に幸せになるための答えです。
3つの幸福について
セロトニン的幸福
気分が良い、気持ちが良い、清々しい、爽やかという気分はすべてセロトニン的幸福です。
大自然の中を、ゆったり散歩している場面を想像してみてください。
気分が晴れ晴れして、気持ちがいいという感覚になりませんか?
これが、セロトニンが出ているというサインです。
つまり、安心、やすらぎ、癒しなどを感じるとセロトニンが分泌されるのです。
セロトニンが出ている人の特徴は、精神的に安定していて、いつも平常心で、穏やかな雰囲気があります。
そのため、プライベートや職場で信頼されることが多くなるでしょう。
逆にセロトニンが低下すると、感情のコントロールが利かなくなり、イライラしたり怒りっぽくなります。
うつ病はセロトニンが究極的に低下している状態です。
何となく体の調子が悪かったり、精神的に辛い場合はセロトニンが低下している可能性があります。
オキシトシン的幸福
自分1人で感じるセロトニン的幸福に対して、誰かと一緒にいて楽しい、嬉しい、安らぐのがオキシトシン的幸福です。
夫婦関係、友人、趣味の仲間などが当てはまるでしょう。
ストレスの多くは人間関係からくると言われていますが、幸福もまた人間関係がもたらしてくれるのです。
また、オキシトシン的幸福が失われると、連鎖的にセロトニン的幸福も失われます。
そして、オキシトシン的幸福があって始めて、周囲のサポートや応援が得られ仕事の成功が加速し、ドーパミン的幸福を得ることができるのです。
ドーパミンとセロトニンをつなぐ要となるのが、オキシトシン的幸福です。
ドーパミン的幸福
ドーパミン的幸福は、成功の幸福です。
喜び、嬉しさ、達成感などが当てはまります。
また、ドーパミンは依存症の物質でもあります。
お酒、薬物、ギャンブル、買い物、ゲーム、スマホなど手軽に手に入る快楽は要注意です。
ドーパミン的幸福は「DO」の幸福と言われ、行動や努力によってしか得ることはできません。
何もしなければ、ドーパミン的幸福は得られず、時間とともに減ってしまうのも特徴。
一方、セロトニン的幸福とオキシトシン的幸福は「be」の幸福と言われており、常にそこにある幸せで、幸福感は減りにくいとされています。
間違えると不幸になることも、幸福物質の優先順位とは?
幸せを感じているときは、たいてい3つの幸福(セロトニン的幸福、オキシトシン的幸福、ドーパミン的幸福)のどれかに当てはまります。
そして、この3つの幸福には、獲得するのに優先順位があるという、重大な事実を知る必要があります。
優先順位は
セロトニン的幸福⇒オキシトシン的幸福⇒ドーパミン的幸福
です。
この順番で幸福物質を獲得できれば、人間としての幸せをすべて手に入れることができるかもしれません。
逆に、順番を間違えると、幸福どころか、むしろ不幸になる可能性も。
例えば、セロトニン的幸福(健康や安心)を無視して、ドーパミン的幸福(名誉やお金)を目指すと、メンタルや身体に不調をきたす可能性があります。
皆さんも経験はないでしょうか?
ドーパミン的幸福を満たすためにがむしゃらに突き進んでも、幸福感が得られず、体と心が限界を迎えてしまったことを。
重要なことは、セロトニン的幸福を満たしながら、前に進むことです。
そうすれば、自分の能力を最大限発揮できるため、仕事の成功やお金、名誉が手に入り、ドーパミン的幸福も一緒に手に入るのです。
自分の能力を最大限発揮するには、健康や安心と言った土台が絶対条件です。
土台がしっかりしていれば、多少辛いことがあっても、簡単に崩れることはありません。
つまり、セロトニン的幸福があれば、安定した人間関係が積み上がり、オキシトシン的幸福も手に入れることができる。
そして、最終的にドーパミン的幸福も手に入れることができるのです。
セロトニン的幸福を優先して頑張る人が、本当の幸せを手に入れられる人なのです。
また、人とのつながりで得られるオキシトシン的幸福を、ないがしろにしても幸せにはなれません。
いくら仕事を頑張って、お金を稼いでも、家族や友人から嫌われていたら幸せといえるでしょうか。
家族や友人と楽しく食事をする時間もないとしたら、幸せとは言えません。
つながりや人間関係を無視して成功を目指しても、その先に幸せはないと考えていいでしょう。
セロトニン的幸福を失うと、連鎖的にオキシトシン的幸福も失います。
家族や友人、パートナーとのつながりはすべて自分の健康があってこそです。
つまり、健康の幸福であるセロトニンが一番先で、つながりのオキシトシン的幸福がその後、最後にドーパミン的幸福を積み上げるのです。
セロトニンは、すべての幸福の一番の土台となります。
セロトニンやオキシトシンの土台がしっかりしていれば、その上にドーパミン的幸福をたくさん積み上げることができるでしょう。
セロトニンとオキシトシンの土台がしっかり整っていれば、結果として3つの幸福をすべて手に入れることができるのです。
これが著書3つの幸福で語られている幸福論なのです。
幸せになる方法、3つの幸福を手に入れる
セロトニン的幸福、オキシトシン的幸福、ドーパミン的幸福の3つの幸福を手に入れる具体的な方法について解説します。
セロトニン的幸福を手に入れる方法
朝散歩
3つの幸福の中でセロトニンを手に入れる方法として、睡眠、運動、朝散歩が推奨されています。
その中でも樺沢先生が一番おすすめしているのは、朝散歩です。
朝散歩はセロトニンの分泌に最適で、うつ病患者さんなどにも人気があります。
起床後1時間以内に、たった15~30分の散歩を行うだけで、驚くほど幸福感を得ることができます。
疲れやすい、感情が不安定、イライラする、物忘れやミスが増えてきた、仕事に行きたくないなどの症状がある方は、朝散歩を無理のない範囲で試してみてください。
睡眠時間を削って朝散歩をするのではなく、しっかり睡眠時間を確保して(7時間以上)朝散歩を行うようにしましょう。
また、体力的に毎日散歩するのがしんどい方は、週に数回、数分からでも効果があるそうでう。
無理のない範囲で、継続することがセロトニン的幸福を獲得する近道です。
三行ポジティブ日記
もう一つ、セロトニンを獲得する方法として、三行ポジティブ日記があります。
寝る前15分以内に、その日にあった楽しい出来事を三つ書くだけです。
幸せの収集能力が高まり、楽しい出来事に対して敏感になってくるでしょう。
効果としては
- ポジティブ能力が高まる
- 睡眠が改善する
- 感情が安定する
- 幸福度がアップする
です。
一日3分から5分でこれだけの効果が得られるなら、試してみたくなりますね。
オキシトシン的幸福を手に入れる方法
スキンシップ
オキシトシン的幸福はつながりと愛の幸福で、まずはスキンシップによって手に入れることができます。
例えば、パートナーとの交流、親子の交流、赤ちゃんを抱っこしたり、なでたりするなど。
友情や仲間との交流もオキシトシン的幸福に分類されます。
また、スキンシップをとれる人間関係がなくても、心が通った交流があればオキシトシンは分泌されます。
コミュニティやグループ、部活など積極的に参加してみましょう。
親切と感謝
交流の次にオキシトシンの分泌に役立つことは、「親切、感謝」です。
人に親切な行為をしたとき、オキシトシンが出ます。
また、感謝や、他者貢献、ボランティアなどもオキシトシンを手に入れるための大事なカギとなります。
親切や感謝が次のドーパミン的幸福につながるのです。
ドーパミンを手に入れる方法
ドーパミン的幸福は何かを達成することによって得られる幸福感です。
具体的に言えば、仕事の成功やお金がドーパミン的幸福に当てはまるでしょう。
確かにお金や社会的成功を手に入れれば、少しの間は幸福感を感じられるかもしれません。
しかし、残念なことに、時間が経てば、元の幸福度に戻ってしまうとこと、科学的な調査でがわかっています。
実際の研究でも、お金よりも健康や人間関係、自己決定のほうが幸福度の関連するという結果が出ているそうです。
3つの幸福の中では、正しいドーパミンの獲得について次のように書かれています。
お金に感謝するとお金が戻ってきて、増えていく。だから、お金に感謝することが必要だ。お金持ちになるためには感謝の気持ちが不可欠である。
一見、スピリチュアルっぽく聞こえますが、これは科学的に説明することができます。
それは、お金に感謝をするとドーパミン的幸福(金銭的幸福)が、オキシトシン的幸福(感謝)と結びつくからです。
ただお金を求める人たちは、ドーパミン的幸福しか得られないので、お金の大切さを忘れてしまいます。
しかし、感謝や親切はオキシトシン的幸福につながり、お金だけではなく、信頼や良い人間関係も手に入るのです。
オキシトシン幸福はドーパミン的幸福と違って劣化しないので、感謝や信頼によって生まれた信頼も劣化しません。
結果的に信頼とお金の両方を呼び寄せる、幸福のスパイラルに乗ることができるでしょう。
まとめ
今回は樺沢紫苑先生の3つの幸福を参考に人間の幸せについて考察してみました。
幸せを科学的にひも解いてみると、生きていくうえで非常に重要なことが理解できた気がします。
科学的に幸せになるカギは、セロトニン的幸福、オキシトシン的幸福、ドーパミン的幸福を順番に積み上げていくことです。
まずは、セロトニン的幸福を得るためにできることから始めてみましょう。
セロトニン的幸福を感じることができれば、連鎖的にすべての幸福を手にできるでしょう。