近年、世界中でマインドフルネス瞑想を日常生活の中に取り入れる人が増えています。
しかも、マインドフルネ瞑想は発達障害、特にADHD(注意欠如、多動性障害)と非常に相性が良いとされています。
ADHD当事者である私も、日常生活にマインドフルネス瞑想を取り入れ、驚くべき効果を実感することができました。
特に効果を感じたのは
- 集中力の向上
- 自分の感情をコントロールできるようになる
- ストレス減少
です。
これらは仕事や人間関係にも良い影響を与え、人生の幸福感向上につながっています。
ADHD特有の集中力のなさ、感情の高ぶりに悩んでいる方に瞑想は非常にお勧めです。
今回は私自身が行っているマインドフルネス瞑想のやり方やその驚くべき効果について解説します。
集中力の低下や、ADHD特有の多動性、衝動性に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
1、なぜ瞑想が発達障害(ADHD)に効果があるのか?
ADHDは脳の行動や感情などをコントロールしている神経系の機能障害、特に前頭葉の働きが弱いことが関係しています。
そのため注意集中や行動抑制が難しいのです。
私自身も幼い頃から、外部からの刺激により簡単に集中力の極度の低下(低覚醒)状態や感情の高ぶりによる興奮(過覚醒)状態に悩まされ、自分自信をコントロール出来ずにいました。
このような脳の暴走とも言える状態をマインドフルネス瞑想によって解決できるのです。
マインドフルネスとは「今この瞬間」に意識を集中させことで、瞑想により自分の内面を観察します。
低覚醒や過覚醒状態に陥っていても、思考や感情、情動を冷静かつ客観的に観察し(マインドフルネス)、それからじっくり行動できれば、抑制したり、まとめたり、調節することが可能なのです。
また、普段無意識でしている呼吸に意識を向けることで、衝動的な欲求を抑えることができます。
呼吸は意識的な制御と自律神経系(無意識的)の制御の両方の支配下にある数少ない身体機能で、呼吸を意識することで理性と情動の平衡を保つことができます。
マインドフルネス瞑想は理性脳と情動脳の激しい主導権争いに終止符を打てるのかもしれません。
実際にマインドフルネス瞑想が脳に良い影響を与えることは科学的に証明されています。
瞑想を半年ほど実践すると前頭葉の活動が増すという研究結果もあります。
2、お勧めのマインドフルネス瞑想実践方法
瞑想が好まれる要因の一つが手軽に始められることです。
落ち着ける空間さえ確保できれば誰でも行うことができます。
私は寝る前の10分という時間を使って瞑想を始めました。
一日の終わりの寝る前の時間を利用することで、忙しい日でも続けることができるのでお勧めです。
10分という時間の確保が難しいと言う人は、5分や1分からでも大丈夫です。
大切なのは時間ではなく、継続することだと思います。
瞑想のやり方については2冊の本を参考にしました。
~1日10分で自分を浄化する方法~マインドフルネス瞑想入門と
大人のADHDのためのマインドフルネスー注意力を強化し,感情を調整して,目標を達成するための8つのステッププログラムです。
~1日10分で自分を浄化する方法~マインドフルネス瞑想入門は瞑想初心者の人向けで、
大人のADHDのためのマインドフルネスー注意力を強化し,感情を調整して,目標を達成するための8つのステッププログラムはADHDに特化した内容になっています。
私はこの2冊を参考にして自分に合った瞑想方法を行っています。
それでは、私が実践した瞑想方法について簡単に紹介します。
① 落ち着ける部屋で椅子または地面に座る
背筋は伸ばし、正しい姿勢を意識しましょう。
正しい姿勢は瞑想を行う上で非常に重要です。
寝転んで行っても良いですが、寝てしまう可能性が高いため座ることをお勧めします。
② 軽く目を閉じ、ゆっくりと呼吸する
全身の力を抜くことを意識しましょう。
無意識に肩などに力が入っていることが多いです。
体のどの部分が緊張しているかを感じ、リラックスしましょう。
③ 呼吸に意識を集中させ、「今この瞬間」を感じる
深い呼吸を意識します。
鼻から大きく息を吸って、お腹を膨らませ、ゆっくりと息を吐きましょう。
この状態を10分間続けるだけです。私のお勧めはyoutubeにある10分間の瞑想用の音楽を聴きながら瞑想することです。
雨や波の音など自然の音も集中力を高められるので、個人的にはお気に入りです。
もちろん無音の方が集中できると言う人もいるので、色々なやり方を試してみると良いでしょう。
さて、実際にやってみるとわかりますが、瞑想中に様々な雑念が脳裏に浮かんでくると思います。
苛立ちや心配、不安など様々な負の感情が自動的にわき上がってくることに気づくでしょう。
しかし、それが普通なので気にしなくて大丈夫です。
その雑念に反応せずに、ただ感じることに意識しましょう。
反応してしまうと「今この瞬間」から過去や未来に簡単に放り出されてしまいます。
雑念を客観的に遠くから眺めるイメージです。
少し時間がたつとその雑念が小さくなっていくのを感じるので、また意識を呼吸に集中させます。
マインドフルネス瞑想はこれの繰り返しです。
最初の内は雑念に圧倒されて、失敗してしまうこともありましたが、継続していくと、少しずつ慣れていきます。
マインドフルネス瞑想に慣れてくると嫌な感情、不快な感覚を感じても、それに反応せず無視できるようになります。
ただ、それを見つめて、少しずつ収まっていくことが感じられます。
不変だと思っていた負の感情が、実は時と共に少しずつ変化していくことに気づくはずです。
これはADHDの症状を改善するためにとても有効なことです。
瞑想は継続して行うことで、少しずつ効果が現れます。
焦らずじっくり取り組みましょう。
3、実際に感じたマインドフルネス瞑想の効果
瞑想を1ヶ月ほど継続したところで、様々な変化を感じ取ることができたので紹介します。
効果①ストレス減少
寝る前に瞑想を実践すると、今日起きた色々な出来事が頭に浮かんできます。
むかつく上司の顔や家族から言われた些細な一言など。
様々なストレスを抱えながら生きていることに気づくでしょう。
この「気づく」ということだけでもストレスの軽減効果があります。
無意識に生きていると、日々の忙しさに追われ、自分がどのようなことにストレスを感じているかさえ気づかぬまま一日が終わってしまい、どんどんストレスが溜まっていきます。
意図的に自分の内面を見つめる時間を作り、客観的に自分の感情を観察することで、ストレスから解放され、とても穏やかなきもちになります。
その日のストレスを次の日に持ち越さないためにも寝る前の瞑想はとても有用です。
マインドフルネス瞑想のストレス軽減の効果はうつ病などの精神疾患の治療に用いられるほどです。
効果②多動性・衝動性の抑制
先ほども述べましたが、瞑想は脳にある前頭葉の働きを活性化させる作用があるため、前頭葉の働きが弱いことで生じるとされるADHDの多動性、衝動性の抑制が期待できます。
私自身も多動性や衝動性の症状に駆られたときは、マインドフルネス瞑想のおかげで自分の感覚をある程度調整できるようになりました。
どうやら瞑想は体の感覚を監視する監視塔の能力を強化してくれているようです。
今までは多動性や衝動性に襲われたときは、その衝動をどうすることもできませんでした。
発散できない衝動を解決するため、アルコールやギャンブル、異性関係など間違った方法を繰り返して、完全に負のスパイラルに陥っていたのです。
しかし、瞑想により、ただ内側の感覚を見つめることで、情動が満ち足り、引いたりすることに気づきました。
それによりどうすることもできないと思っていた、多動や衝動、それに伴う不快な感情も一時的なものであると理解できたのです。
普段はそのような負の感情に襲われると無意識的に反応していましたが、瞑想によって内面に意識を向け、気づくことができれば習慣的な反応ではない新しい選択肢を得ることができるかもしれません。
効果③睡眠の質の向上
寝る前に瞑想を行うメリットとして、睡眠の質の向上が挙げられます。
一日の終わりに、その日あったストレスを瞑想により処理することで睡眠の質が格段に高まります。
また、リラックスして眠りにつけているため、次の日の朝の目覚めも良いです。
瞑想は交感神経と副交感神経のバランスを整えるので、自然と深い眠りにつくことができました。
ADHDと睡眠の関係についてはこちらの記事も参考にしてください。
効果④集中力アップ
勉強や仕事に取り組む際、様々な雑念が私たちを邪魔しています。
その雑念が集中力を失う原因になっています。
特にADHDの人は他のことに注意を持っていかれやすく、集中を継続することが難しいのです。
しかし、瞑想は「今この瞬間」に意識を集中させるトレーニングです。
雑念に捕らわれそうになったら、呼吸に意識を向け、雑念を頭の中から取り除くことができます。
すっきりとした頭で物事に取り組むことができるので、集中力が以前よりアップしました。
仕事や勉強をする前に瞑想をすることで、集中力が高まった、良い状態でスタートできます。
効果⑤ 仕事
先ほども述べましたが瞑想をすると雑念から解放され、頭の中がすっきりします。
頭の中が整頓されることで、記憶力が向上し、今自分がするべきことが見えてきます。
また、今までより直感力や想像力が高まったような気がしました。
これらのことは私が仕事をする上でとても有利に働きました。
自発的に行動できる人や独創的なアイディアを出せる人は社会から評価されますが、そのような人物になるためには頭の中をクリアにしなければいけません。
社会的に成功している人の中に瞑想を好む人が多い理由も分かる気がします。
効果⑥ 人間関係
瞑想は自分の感情や感覚をありのまま受け入れる訓練でもあります。
自分自身をありのまま受け入れられるようになると、他人に対しても同様にありのままを受け入れられるようになります。
他人の言動や行動に気分を乱されることが少なくなり、誰とでも思いやりをもって接することができるようになります。
瞑想を取り入れてからより豊かな人間関係を築けるようになりました。
効果⑦幸福感が高まる
定期的に瞑想を続けていると、内側に幸福感が生まれます。
嫌な出来事も、自分の嫌いな部分もすべて受け止められるようになります。
これは何にも代え難い幸福感です。
この幸福感は瞑想後しばらく続きます。
たとえ今日、嫌なことがあり、精神的に不安定でも、瞑想があれば大丈夫という安心感が生まれます。
一日の終わりに幸福感を感じられるのは最高の気分です。
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4、まとめ
瞑想は短時間で効果が現れるような即効性のある方法ではありません。
しかし、継続して行えば確実に良い作用をもたらしてくれることがわかりました。
特にADHDを抱えている人、それに似た症状がある人、ストレスが多い人、睡眠に問題を抱えている人、体の緊張感が高い人などにお勧めです。
そして、身体的や精神的な悩みが解決されれば仕事や人間関係にも良い影響を及ぼします。
ADHDは障害なのでそれ自体を治すことは難しいかもしれませんが、マインドフルネス瞑想は体の感覚に意識を向けて、その感覚と仲良くなることで心と脳に大きな変化をもたらし、失われた自信の向上につながります。
瞑想は誰でも簡単にでき、習慣にしてしまえば必ず何かしらの恩恵を受けられるはずです。
寝る前の数分を瞑想のために使ってみてはいかがでしょうか。
※参考書籍