トラウマを癒せばイップスは改善する!スポーツとトラウマの驚くべき関係とは?

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トラウマ(PTSD,複雑性PTSD)

イップスとは今まで無意識にできていた動きが、何らかの要因で思うように動かなくなってしまう運動障害のことを言います。

主にゴルフや野球と言ったスポーツで多く使われる言葉です。

イップスについて奇跡の生還を科学する恐怖に負けない脳とこころと言う書籍にはには書かれています。

イップスといえば、スポーツの世界では何よりも恐れられていることばだ。単に力及ばず失敗するのとは次元が違う。失敗は運動競技にはつきもので、決して避けることはできないが、イップスとはそんなものじゃない。これはプレッシャーのかかった状況でいきなり運動スキルが崩壊するというもので屈辱であるばかりか、当人にもわけがわからない体験なのだ。

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イップスというのは本人にはどうすることもできない問題であり、1人で解決することは難しいようです。

スポーツを始めたばかりの初心者が失敗をすれば、それは練習不足や技術の問題としてかたづけられるでしょう。

しかし、極度の緊張やプレッシャーを幾度となく乗り越えてきたはずの一流プロ選手でさえイップスに陥ってしまうのです。

しかも、経験年数が長いベテランの選手ほどなりやすいと言われています。

このような百戦錬磨の一流選手にたいして精神論や技術的なアドバイスが的外れであることは容易に想像できます。

では、なぜ経験豊富なプロ選手でさえイップスに陥ってしまうのでしょうか。

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1、イップスの裏に隠れるトラウマ

イップスの原因の一つとして考えられているものがトラウマです。

何らかの体験より起因された不安や恐怖がトラウマになり、当たり前にできていた行動ができなくなってしまうのです。

例えば

  • 簡単なパットを外し、観客からがっかりされた(ゴルフ)
  • 相手選手にデッドボールを当て、強く怒られた(野球)
  • 大事な場面でシュートを外し、そのせいで試合に負けてしまった(サッカー)

このようなことがトラウマになり、同じような場面がくると恐怖や不安で体が動かなくなってしまうのです。

そして、イップスを克服しようと必死に努力しますが、練習を繰り返すほど症状は悪化してしまいます。

何をやっても改善されず、本人は途方暮れてしまい、引退に追い込まれるケースも少なくありません。

また、イップスはスポーツだけでなく様々な場面に訪れることが知られています。

舞台俳優や歌手が舞台上で突然声が出なくなる発音障害、楽器演奏者や画家が特定の場面で手が震える動作障害などもイップスの一部で、医学的にはジストニアという症状に分類されます。

スポーツとは関係ありませんが、私は対人関係にトラウマがあり、イップスに似たような体験をしています。

人と面と向かって話そうとすると、学生時代にいじめられた記憶がよみがえり、声が出なくなってしまうのです。

これはただの対人恐怖症かもしれませんが、過去のトラウマが原因となり、特定の行動ができなくなるという点では共通しています。

なぜ特定の場面や状況で私たちの身体は意思に反する行動をしてしまうのでしょうか。

2、潜在意識に刻まれた身体の誤作動

スポール選手は様々な動作を繰り返し練習することで、意識しなくても瞬時に体を動かせるようになります。

つまり、無意識領域(潜在意識)の働きのおかげで、自動的に優れたパフォーマンスができるのです。

しかし、過去の失敗などのトラウマは強い不安や恐怖と共に潜在意識にインプットされます。

特定の場面や特定の動きに対して、無意識にトラウマがよみがえり、身体は誤作動を起こしてしまうのです。

イップスを改善しようと意識的に練習を繰り返すと、トラウマによる誤作動を身体に覚えさせることになり、イップスをより強固なものにしてしまいます。

いくら頭で理解していても、身体が勝手に反応してしまうのです。

その理由として潜在意識の影響力が考えられます。

私たちの脳は潜在意識が90~97%を支配しており、意識的な顕在意識は氷山の一角なのです。

必死に頭で考え、顕在意識にアプローチしても太刀打ちできないとうことが理解できると思います。

3、トラウマは身体を凍らせる

イップスはなぜ簡単に治すことができないのでしょうか?

その理由として、ストレス(危機的状況)と人間の身体の反応が大きく関係しています。

人間は大きなストレスを感じると、逃げるか、戦うかという行動を選び、そのストレスを排除しようとします。

これを「逃走・闘争反応」と呼びます。

しかし、逃げることも、戦うこともできず、長期間ストレスを感じ続けると、私たちの身体は最終手段にでます。

それが第三の反応「凍りつき、硬直、不動状態」と呼ばれるものです。

スポーツ選手は極度の緊張感の中、自分では気づかないほどの大きなストレスを感じています。

試合本番という大きな舞台だけでなく、日頃からハード練習をしているため、絶え間ないストレスにさらされているのです。

そして、プレッシャーのかかる場面やハードな練習中などは、そのストレスから逃げることが困難な状況にあります。

この絶え間ないストレスを感じ続けることで、私たちの身体は凍りつき、脳の潜在意識に余分な回路が刻み込まれ、同じような状況に陥ると、自動的に余計な筋肉が収縮し、不動状態になるのです。

そして、恐ろしいことに一度不動状態になると、元に戻ることはできません。

だからイップスは簡単に治すことができないのです。

何気ないミスがトラウマとして身体の記憶となり、同じような場面でフラッシュバックし無意識に身体が硬直することもあるでしょう。

私の人と話せないという問題もこの反応が原因と言えます。

クラスメイトからのいじめにより、極度の緊張やストレスを感じながら学校に通っていたことが原因でだと思います。

教室の中という逃げることも戦うことも許されない状況の中、絶え間ないストレスを感じることで、ある日、身体は完全に動かなくなったのです。

その後も他人と話すときには、いじめられたトラウマがよみがえり、不動状態が発動され、身体は凍りつき全く話せなくなってしまいました。

対人関係のトラウマが私の身体を凍らせたように、スポーツ選手や歌手や舞台俳優、画家、楽器演奏なども逃げ場のないストレスにより身体が硬直しているのです。

このような状況から抜け出すにはいったいどうしたらいいのでしょうか?

4、身体の記憶を書き換える。

潜在意識に染みついた身体の記憶を変えるのは簡単なことではありません。

心理療法などの精神的アプローチもトラウマを癒す効果はありますが、それだけでは足りないと言われています。

潜在意識を書き換えるには、新たな記憶を上書きするしかありません

脳から見える心―臨床心理に生かす脳科学という書籍の中にイップスを克服するヒントが書かれていました。

すでに成立してしまったプログラムA→B→C→(→E)→Dを変えることが大事なのだ。そのためにはA→B→C→Dという練習を「強靭なメンタル」で繰り返すわけにはいかない。それではすでにA→B→C→(→E)→Dに変質してしまった脳内プログラムをいたずらに強化すことにつながるからだ。

身体の記憶を書き換えるには、まず脳の誤作動が発動される過程を正しく知る必要があります。

イップスに至るまでの行動をよく観察してみると、イップスの症状が現れる原因が一つではなく、いくつかの流れの中で起きていることだと気づくはずです。

A→B→C→(E)→Dという一連の流れの中で(E)という誤作動が紛れ込んでいるのです。

無理に正しい行動であるA→B→C→Dに戻そうとして、練習を繰り返しても、A→B→C→(E)→Dというイップスが強化されると述べられています。

身体の記憶は無意識に再現されるため、トリガーとなる行動を繰り返すとイップスの症状がより強固になるのです。

様々なトリガーが要因となって身体の誤作動が起きているとわかれば、トリガーに反応せず、行動を保留することでイップスの症状を抑えることができます。

A→B→Cまでで行動を止めてしまえば、(E)という誤作動は発動されません。

そして、トリガーに反応する代わりに新しい行動を取り入れれば、記憶を上書きすることができます。

つまりA→B→C→(E)→Dという行動をA→B→C→(F)→Dに置き換えるのです。

Fという要素を加えることでEという間違った行動を排除できるかもしれません。

また、Aを排除してB→C→Dにしたり、B→A→C→Dと順番を入れ替えるなどして、Eの入る隙間をなくしてしまうのです。

そのような練習を繰り返すことで身体の記憶は上書きされます。

私の他人と話そうとすると固まってしまう誤作動についてですが、その時の光景をよく観察してみると、相手と目があった瞬間に言葉が出なくなることに気づきました。

そして、無理に話そうとするほど、余計に声が出なくなるという連鎖的な流れになっていたのです。

そこで、他者と対面したときは無理に話そうという行動は一旦やめ、相手の目ではなく鼻から口の辺りを見るとう行動に置き換えることにしました(A→B→C→(F)→D)。

すると、少しずつですが、以前より言葉が出るようになったのです。

また、学校へ行くと言う行動をやめてしまえば、トラウマの悪化を防げたかもしれませ(B→C→D)。

このように自分の行動や感情をしっかり見つめ、何がイップスのトリガーになっているかを気づくことができれば、負の連鎖を止めることは可能と言えるでしょう。

イップスは身体の緊張や身体のアラームを無視し続けたことが原因かもしれません。

イップスになってしまったら、自分の身体と向き合い、自分の身体とゆっくり対話を始めましょう。

5、トラウマを癒せば、イップスは自然と消える

イップスを解消するためにはトラウマを癒す必要があります。

薬物療法

イップスの治療として薬物療法や精神療法が用いられることがあります。

薬物療法では抗不安薬やβブロッカーなどの降圧剤が有用と言われています。

これらの薬はイップスのトリガーとなる恐怖や不安を和らげることができ、トラウマによる誤った反応を抑える働きがあるのです。

しかし、これらの薬物はオリンピックなどの禁止薬物に含まれているため、専門の医師による慎重な投与が必要です。

精神療法

トラウマを癒すには、まず自分の症状をしっかり認め、失敗を容認することが必要になってきます。

そうすれば無理に直そうとして症状を悪化させることもなくなります。

さらに身体に極度な緊張が見られたり、特定の状況への不安や恐怖がある場合には、リラクゼーションを目的とした心理療法が有効です。

心や身体の不安、恐怖、緊張はストレスを感じたことと反対のことをイメージすることでストレス状態は緩和します。

不安・恐怖や緊張などの感情はその感情に拮抗する(反対の)感情によって低減あるいは消去され、反対の感情を生起させることによって不安・恐怖の感情や緊張を取り除くことができるのです。

このようなメンタルトレーニングを瞑想や音楽を聴きながら実践することで効果が倍増します。

イップスの原因は緊張、ストレス、練習のし過ぎが多いと言われています。

リラクゼーションにより身体が心の底から安心でき、トラウマを癒すことができればイップスは自然と解消されるでしょう。

BLUE BACK MUSICのようなイップスを治療する専門プログラムも存在しています。

Blue Back musicは逆制止法と長短呼吸を組み合わせた音楽療法で、イップス改善、不安やトラウマ解消が期待できます。

逆制止法で不安・恐怖の感情や緊張を取り除き、長短呼吸で自律神経のバランスを調整することで、過去のトラウマやマイナスな記憶がリセットされるそうです。

詳しくはこちら 

                                                                                            イップスに悩まされている人はぜひ試してみてください。

6、まとめ

イップスは長らく原因不明の症状とし本人たちを悩ましてきました。

そして、イップスを必ず解消できるという絶対的な治療法はありません。

しかし、近年になって気持ちが弱いとか気合が足りないといった、精神的な努力では解決できないことがわかってきたのです。

今回の考察で過度な緊張やストレスがトラウマとなり身体の誤作動を引き起こし、さらに過度な練習を繰り返すことでそのトラウマを強固なものになることがわかりました。

イップスを解消するには

  • トラウマによる身体の記憶を上書きする
  • 不安、恐怖、緊張から生まれたトラウマを癒す

を意識すると身体の反応は変わってくるかもしれません。

※参考書籍

プロフィール
サカキ

幼少期に虐待、いじめを経験。トラウマに苦しめられる日々。
見返してやろうと奮闘するも、何事もうまくいかず・・・
それでも普通に働いて、幸せを感じられるようになりました。
自分に効果があった方法(治療法、心理学、スピリチュアルなど)紹介していきます。

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